福島は語る

2019/03/10

 佐賀のシアターシエマにて「福島は語る」というドキュメンタリー映画を観てきました。東日本大震災と福島第一原発事故から8年。3月11日が近づくと、テレビや新聞での報道でも関連のニュースが流れますが、もう遠い昔の出来事のような感覚になっている人が多くいることも事実ではないでしょうか。各地での原発の再稼働や復興オリンピックと称される東京オリンピックなど、何も解決していない現実問題からあえて目を背けようとしているようにも思えます。

 この映画の存在は、自分が福島県南相馬市の支援に入っているときに大変お世話になっていた、福島県在住の知人より紹介していただきました。この方は震災直後から福島県内の障がいのあるなかまの安否確認や生活再建に向けた取り組みを、他の障がい団体と連携しながら、自らが中心になって実践されてきた方です。自分自身の中でもこの方の言葉一つ一つの持つ重みが、自分を奮い立たせる原動力にもなっています。震災後、福島県南相馬市では全国で初めて障がい者の個人に関する情報を障がい者手帳の台帳を基に開示し、南相馬市内の障がいのある人とその家族の安否確認や生活状況を確認することができました。この経験は、後の熊本地震でも大いに参考になりました。

 さて、映画「福島は語る」に話を戻します。この映画は震災から現在に至るまでの生活環境の変化や、その中で抱え込んだ「問題」と、そのことを語る人の内面である「深い心の傷」や「痛み」が描かれた映画です。報道などでも、今に残る問題は取り上げられますが、その奥に残る心の傷や痛みはなかなか伝わってきません。避難した後悔と避難しなかった後悔、風評被害の現実と逆の立場となったときの心の葛藤、その日のことを思い出したくないという現実と伝えなければいけないという思い・・・。この映画にはまだまだ当事者でなければ感じることのない傷や痛みが、当事者の言葉として描かれています。これまで数多く福島に震災支援に入ったこともあり、映像で見られる景色の実像が鮮明に思い浮かびました。あの時この田んぼはこうだったなぁとか、制限区域のためここから先には入れなかったなぁ・・・など、懐かしくもあり苦しくもあり・・・。帰りの車の中では当時からの写真を思い出しながら、流れ落ちる涙を拭うことなくハンドルを握っていました。

 「あの日のことは忘れない」その思いとともに、あの日のことを思い出したくない人がいるという現実もしっかり受け止め、わたしたちができることを改めて考え、これからも福島に思いを寄せ続けたいと思います。

明日3月11日を前にして。     NPO法人ドリームパーク 理事長 牛嶌輝彦